【断】選挙における2つの禁じ手
2007/08/10, 産経新聞 東京朝刊
丸川珠代新参院議員批判の大月氏の8月2日付「断」に拍手。私も一女性の意見を紹介したい。東京の某企業で管理職として働く40代の女性課長とその女友達の間では、東京都選出で当選してほしくない筆頭が丸川候補だったそうだ。同性の嫉妬(しっと)ではない。
管理職についた女性にとって扱いづらい人種が2つある。女のくせに生意気なと「男の沽券(こけん)」を振りかざす男性と、「女の涙」を、たとえ無意識でも結果として武器にする若い女性だ。
頼んだ仕事の不手際を注意すると、すぐ涙ぐむ若い女性の部下には多くの男性上司は腰砕けになる。そこで、同性上司のほうが適役であろうと、前述の女性課長に指南役が回ってくる。計算した涙か、素直な涙か、どちらの涙でも「悔し涙は家で流しなさい」と、彼女は部下を叱咤(しった)激励する。と、この役を頼んだ当の男性上司が「きつい女」と彼女の陰口をたたく。泣いたほうが勝ちとの理不尽さは日々のことだ。
当然ながら、選挙に行ったことがない自分の不手際を批判されて、街頭演説の場で先輩の片山さつき議員に抱きついて号泣した丸川候補には、怒りを通り越して白けた。「彼女の場合は素直な涙に見えました。かわいいんじゃないですか。キャラということでしょう。でも、一部下ならともかく、国会議員を務めるキャラクターでないことはあきらかです」と女性課長。至極同感である。
女の涙と同等に見ていて不快だったのが、いつもながらの土下座まがいのこびへつらいだ。どちらも国民の代表として、世界に向かって意見を言わなければならない議員の態度としてはふさわしくない。次回選挙では、以上の2つは禁じ手としていただきたい。(評論家・井口優子)