【断】ネット時代の居酒屋論議
2007/07/11, 産経新聞 東京朝刊
12日公示の参院選に東京選挙区または比例区から出馬予定の候補者を招き、飲み交わしながら政策論を闘わせよう。名付けて「居酒屋 激論ライブ」が、6月30日、東京・四谷の居酒屋で行われた。主催は市民参加によるインターネット新聞「オーマイニュース」で、討論の模様がそのサイト上で生中継され、視聴者からのコメントも同時紹介された。
かねがね、政治家の記者会見や講演などの一部始終が、地方に住む人たちに伝えられたならと思っていた。月に1回、故郷で「徒然草を読む会」に参加し、地方に住む人たちの主なる情報源がテレビや新聞、雑誌であることを実感している。
自分で実際にみてきた記者会見が、ほんのさわりだけテレビニュースで流されるのをみるたびに、現場にいたからこそ感じとれるものが伝わりづらいと思っていた。
私も取材して書く人間だからこそ、生情報の面白さを知っている。自分の意見とは別に生情報をもっと伝えることはできないものか。
久間元防衛相の「(原爆は)しょうがない」も、柳沢厚労相の「女性は産む機械」も、それらの失言がとびだした講演を最初から最後まで聞いてみたいと思わないだろうか。彼らを擁護したいからではない。言葉は生き物である。話の流れの中で出てきた表現は、話を全部聞いて、なぜ彼らがそんな表現を使ったかを自分なりに判断したいものだ。
日本の居酒屋にも、自分たちが国を作っていくという市民社会の理念が現れることをこの夜、知った。インターネットによる生中継の可能性に大いに期待したい。(評論家・井口優子)