【断】原爆と「闘う日本人」宣言
2006/08/23, 産経新聞 東京朝刊
14日のテレビ朝日「たけしのTVタックル」は小泉総理の終戦記念日の靖国神社参拝がテーマだったが、タレントの大竹まこと氏の以下のコメントが気に障った。「この国に原爆まで落とさないと戦争をやめないと(アメリカに)思われたんでしょう」。いまだアメリカの言い分をうのみにしているのか!
アメリカ政府もアメリカ人の大多数も、日本への原爆投下を正当化して「原爆によって戦争が終結し、アメリカ兵士だけでなく、日本国民の命も救った。そのことに日本は感謝しなくてはならない」という。ここまでいわれて怒らなかったなら日本人ではない。
私が公私ともに知り合ったアメリカ人の多数も前述のせりふをいう。学校でそう教わっているのである。しかし、ご存じか。そういう彼らは原爆被害の一葉の写真もみたことがないことを。
1995年、ワシントンにあるスミソニアン航空宇宙博物館のハーウィット館長(当時)はもっと客観的に歴史を見直すべく原爆展を企画した。が、退役軍人会らの強い反対に、勝者からの一方的な見方の展示に終わった。
その年、私はフィラデルフィアに住み、その展示会をみた。勝者のシンボルのごときエノラ・ゲイ号の前で喜々として記念撮影するアメリカの子供たち。本来そこで展示されるはずだった焼けただれた時計や弁当箱や着物や被害者たちの写真は、スミソニアン航空宇宙博物館から車で十分ほど離れた私立アメリカ大学で、同時期にひっそりと展示されていた。満杯のスミソニアンに対して、数えるほどの観客だった。
状況は今も変わっていない。勝者の言い分に迎合しない「闘う日本人」宣言こそ必要だ!(評論家・井口優子)