【断】安倍氏再チャレンジ使命-再チャレンジができる国づくりを
2007/9/30, 産経新聞 東京朝刊
新首相のもと、新内閣が動き始めた。首相選挙の場には安倍前首相の姿も見受けられた。その前日24日、慶応病院における首相として最後の会見で、「これからは一国会議員として力を尽くしていきたい」と述べたが、その言葉を証明する第一歩と見た。
会見での生気のない様子に「個人として気の毒には思うが、一国のリーダーがあのような形で政権を投げ出したことへの(国民としての)怒りを忘れてはならない」と、25日朝のテレビ番組で司会者が述べていた。同感である。また、政治生命はほぼ終わったとみるほうが現実的でもある。安倍氏が進む道は、国民の失望と怒りの十字架を背負ったイバラの道である。
しかし、それでも、氏が体力も精神力も鍛えなおし、酸いも甘いも知った成熟した人間として政治家として再び首相の座に返り咲き、「あの時の苦しい経験が今の私を作りました」という場面をみてみたい気持ちも捨てられない。
小泉改革時、アメリカ型競争社会を導入するのなら「再チャレンジできる社会構造もとりいれなければならない」と国会の場で野党が指摘し、「そういう社会を作ります」と政権側も答えていた。
改革路線を引き継いだ安倍前首相自らが、再チャレンジ可能な社会であることを証明する機会を与えられた。ネガティブな思考法では「皮肉にも」という表現を使うだろう。が、何事もポジティブにみようとするアメリカでは、「神が与えた試練」としてネバーギブアップ精神でチャレンジするのがよしとされる。安倍氏のこれからの生きざまこそが、国民に希望を与えるものになるべきで、その使命は大きい。(評論家・井口優子)